はじめに

「未来のために今デザインができること」

2025年の私たちの暮らしを想像してみてください。

地球環境といかに共存し、サステナブル(持続可能)な社会(※)をどのように造り上げるか。

「2025年のものづくり名古屋の姿」を想像してみてください。

今回の国際若手デザイナーワークショップ2007では、誰にとっても極めて身近で、かつ切実なこのテーマを、5カ国21大学・企業の次世代を担う若手デザイナー24人が問いかけ、提案を行った。

参加メンバーは、東京で開かれた世界最大級の環境技術と製品の展示会「エコプロダクツ2007」の取材を皮切りに博物館などを視察し、歴史と伝統、未来と技術、過去と現在の側面から「2025を見据えたサステナブルな宝探し」を検証。中部地域に場を移し、産業の発展の中で効率化のスキルを蓄えてきた名古屋地区のサステナブルな暮らし・まちづくり・モノづくりを学んだ。その後、世界文化遺産・白川郷でサステナブルな暮らしを体験し、「第2回サステナブルデザイン国際会議 Destination2007-2025」(www.ecodesigninstitute.com)に参加、国内外の専門家を交えたディスカッションとプレゼンテーションを行った。

一連のワークショップでは、異なる国籍や多様なバックボーンを持つ若手デザイナーたちがさまざまな角度からあるべき未来を描き、今なすべきことを検証。その成果は、「2025年のサステナブルな社会における、ものづくり名古屋の姿」を最終提案として、去る12月25日、国際デザインセンターで発表された。同日のレクチャーでは、サステナブルデザインの第一人者、ニューヨーク・セント・ジョンズ大学のエアリス・シェリンと北京工業デザインセンター・サステナブル開発R&Dセンターのリー・ウェイ両氏をゲストスピーカーに迎え、海外の最新動向について学んだ。ワークショップの内容は、2008年7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖G8サミット)で配布される文書に反映される予定である。

言葉や文化の高いハードルを乗り超え、溢れんばかりのアイデアで最終ゴールを目指そうとする若いクリエーターたち。いつものことながら、彼らの圧倒的なエネルギーとパワーに感動を覚えたワークショップであった。この誌面を借りて、あらためて、サステナブルな未来へのビジョンを彼らとともに熱く分かち合ってくださったチューターの方々や、ワークショップ開催委員会のメンバーからいただいた温かい支援、励まし、信頼に心から感謝を申し上げたい。特に、本ワークショップの企画に携わっていただいた益田文和・東京造形大学教授と教授が率いるチームに、深い感謝と敬意の念を表したい。益田教授は、高い使命感で過去15年の長きに亘り、サステナブルな社会を日本に築くために多大な尽力をされている。日本のみならず国際社会の多くの若いデザイナーがそのビジョンを引き継ぎ、よりよい世界を築いていって欲しいと心から願っている。

※ サステナブルな社会: 地球環境や人間社会にストレスをかけずに続けていくことのできる社会

キュー・リーメイ・ジュリヤ